バングラディシュ(アジア砒素ネットワーク)

 



 ファルク・ハッサン 氏
 (ヒ素汚染被害住民リーダー)





ロヒマ・カトーン さん
 
【バングラディシュの飲料水ヒ素汚染問題】
 バングラディシュはインド西ベンガル州の東側に位置し、人口は約1億2千万人、北海道の倍くらいの面積に日本とほぼ同じ人口を抱える人口密度の高い国です。
 バングラディシュの農村部では、1970年代以降、伝染病や下痢を防ぐため飲料水源を池や川の水から管井戸に切り替えてきました。現在地下水を利用したその管井戸の数は、400〜500万本と言われています。

 隣国インドの西ベンガル州では1983年、最初の砒素中毒患者が発見され、井戸水のヒ素汚染が原因とと確認されました。同じガンジス河デルタにあるバングラディシュでも地下水のヒ素汚染が危惧されていましたが、中西部のチャパイナバブガンジ県で汚染井戸が確認されたのは93年のことでした。よく94年には、国立予防社会医学研究所(NIPSOM)が同県で8人の患者を確認しています。今年4月には保険家族福祉大臣が『10.554人の砒素中毒患者を確認している』と国会の答弁で述べていますが、全国的に住民検診がされたわけではないので、この数は氷山の一角と見るべきでしょう。インド西ベンガル州では、20万人を超える砒素中毒患者がいると発表されています。

 バングラディシュでは、これまでのところ、全国64県のうち59の県で砒素に汚染された井戸が見つかっています。すべての井戸が汚染されているわけではないにしろ、広大な地域にヒ素汚染が広がっており、3割ほどの井戸が安全基準 (バングラディシュの場合0.05mg/L) を超えていると推測されています。そして、そうした汚染井戸の水を飲用している人々は3千万人以上にのぼり、砒素中毒の危険にさらされています。

 なぜ砒素が地下水に溶け出しているのか・・・? 残念ながら、そのメカニズムは未だ解明されていません。
 『酸化説』 雨の降らない時期に、大量の地下水を汲み上げる灌漑稲作を始めた結果、地下水位が低下し、酸素が地層に入り込むようになって蓄積層中の硫化鉄が酸化され、この鉱石に吸着していた砒素が溶け出した。
 
 『還元説』 砒素を含む井戸水が還元状態にあることから、地下は還元状況下にあり、地下水の大量使用が始まる前から砒素は地下水に存在していた。・・と

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